kes労働衛生レポート
尿中代謝物の量等の検査:尿の濃淡の補正の必要性
有機溶剤、鉛の健康診断での尿中代謝物の量等の検査について、労働基準局長通達(基発第463号、平成元年8月22日)では、『尿の排泄量が極端に多いか、または少ない尿を用いることは、検査結果に影響を与えるので、適切な水分摂取について指導することが必要である』とされていますが、検査結果は尿の濃淡の補正は行っていません。
一般に、尿の排泄量が極端に多いか、または少ない尿の判断に際し、WHOのガイドラインが引用されていますが、尿の濃淡がこの範囲内であっても尿の濃淡が10倍異なります。
当社での尿の濃淡の指標(クレアチニン濃度)の変動状況の調査結果を示しました。尿中代謝物の量等の検査値は尿の濃淡で1/4~4倍(95%の範囲)異なり、生物学的ばく露指標がクレアチニン補正値で勧告されている場合は、クレアチニン補正値による評価が必要です。